三浦のなみ(その二)

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『みづゑ』第三 P.13
明治38年9月3日

 長坂といふ處で、寫生の届をするため駐在所へよつた。査公は脚を傷めて巡廻に出られぬ、退屈だからとてお茶をいれたり菓子を出したり話を仕かけて歸さない。終に二三枚この日のスケッチを見せたら、査公曰く『私は時々公用で見取圖をかゝされますが、あなたが三十分でお描きになつたといふ處を、私は合間々々ではあつたけれど丁度二日かゝりましたo巡査でも繪がかけないと困ります』とつくづく羨ましそうにいふた。

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