批評 彩畫帖


『みづゑ』第三 P.17
明治38年9月3日

 石版水彩風景畫六枚下圖一枚説明書一册附特長と思はるゝもの
 一、圖柄簡單にして初學の臨本に適す。
 二、印刷所を三度變ぜしといふ程ありて、製版印刷共に鮮にしてよく原畫の趣を傳ふ。
 三、下圖及び説明付にて、普通畫帖と異なり親切を極む。
 缺點と思はるゝもの
 一、價高くして一般に普及しがたき事。(實質の上よりいへば廉價なれど)
 二、一二を除くの外圖樣單調にして趣味乏しき事。
 三、明るき圖柄のみにして幽玄なるもの一もなき事。
 但從來發行されし此種のものゝうち第一位を占む。臨本に使用して些の害なきものと思ふ

この記事をPDFで見る