讀者への回答
『みづゑ』第三 P.17
明治38年9月3日
△新宿藤陵氏へ、英文の水彩畫の手引は適當と思ふもの心當り無之候。丸善書店には'多少參り居候間直接御照會相成度侯。
△呉四山氏へ、水彩畫の寫眞版は遠近の調子を見る爲めには無之候。專門家の描法、即ち畫面の統一、筆致の粗密などをいさゝか窺ふるを得べきかと存じ候、若し彩色なきを以て實景の寫眞に劣れりとするは墨繪の價値を知らざる暴論と可申候。但編者も寫眞版は好物に無之、經濟さへ許せば不殘彩色版に改め度希望に候。いづれ近き將來に於て一枚丈けは色彩版に致すべく候。
△三戸千葉氏へ、口繪に觸るゝと黒線を生ずとは何の原因にや解し難く候。殘木一々試み候へ共その事無之候。次に畫題の説明は可成記載する樣に可致候。