繪ハガキ競技會記事
『みづゑ』第四
明治38年10月3日
八月二十七日第十五回開會、出品者客員會員合せて三十九人、出品數二百三枚、選評結果左の如し
跡(意匠)月(技術)
一等 鏃のあと尾關春潮田舍の月瀧島寛水
二等 三脚のあと山崎公平樹の間の月津雲孝
三等 門跡大田南岳林中の月小林珠郎
四等 筆のあと正親町公和 新月荒木芳男
五等 古跡小林華秋山家の月横田順三
六等 蝉の殻津雲孝船の月山田全一
七等齒のあと野口六三橋の月野口六三
八等鳥のあと横田順三 里川の月佐藤清
九等 紅のあと鵜澤四丁滿月鵜澤四丁
十等 眉のあと松田竹嶼海の月巖谷小波
十一等 弾丸のあと山田全一夏の月山崎公平
十二等スタンプのあと後藤百次月見草大田南岳
十三等 ぬけ雀 西山英三 玉兎 倉永擣衣
(以下畧)
意匠の一等は小楠公の故事にて極めて上品なりし、他に同案ありしも組立に不用意なりし爲め落選せり。二等三脚のあとよき思付といふべく、繪も拙なからず。五等の古瓦は國府寺のあとにや、七等の澁柿は面白かりし。他に佳作多かりしも、何れも後のあとにて選に洩れたり。
九月課題 横(意匠) 燈火(技術山田土筆氏出題)十月二十日〆切二十三日開會
意匠横は、横町、横顔、横綱など古ければ、面白き出來の外は入選覺束なし