本號の口繪について


『みづゑ』第四
明治38年10月3日

▲本號の口繪はウォルカア氏の、筆で秋の落日を寫したものであります、全體が暖かなる黄褐色で調子をとつてあります。この絵に於て見るべきは其しとやかな靜かな調子でありながら筆に強健な力が含まれてある點だと思ひます。かゝる繪はいつまで見てゐても見飽のせぬものです。
▲寫眞版のヱッチングは簡潔なよい絵であります、銅版と申しても彼地には一級百圓二百圓の品は珍らしくありません、それは皆畫伯自ら彫刻したもので、甚しいのは五六枚刷つて後は版を潰して仕舞ふため其やうに高價となるのであります。

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