繪ハガキ競技會記事


『みづゑ』第六
明治38年12月3日

 横(意匠)燈火(技術)
 一等梭横田順三一等ピアノの灯三條千代子
 二等横戀慕小林珠郎二等甲森の中横田順三
 三等横笛の卷金江義雄二等乙里の燈火鵜澤四丁
 四等蟹呉文炳三等月下の燈小林華秋
 五等蟹滿寺山崎公平四等燈下野口六三
 六等横ぐし山田全一五等田舍家大橋三平
 七等横ぶり野口六三六等カンテラ赤城泰舒
 八等うらなひ小林華秋七等甲提灯山田全一
 九等天の川小寺健吉七等乙行燈堀内凡水
 十等英書後藤百次八等おしごと瀧島寛水
 十一等よこめ渡邊寒葉九等夜の道柳田春太郎
 十二等横笛正親町公和十等燈臺佐藤清
 十三等若葉の笛倉永擣衣十一等提灯後藤百次
 十四等甲宇治川澤村豐十二等線香山崎公平
 十四等乙江戸の雨堀内凡水十三等軒洋燈小林珠郎
 十五等横乘大橋三平十四等窓の燈火小林誠之助
 十六等横づけ梶原景祐十五等田甫道小寺健吉
 十七等横濱成瀬二葉十六等百物語波邊寒葉
 十八等横雲岡田寸草十七等市の灯倉永擣衣
 十九等おつかれ赤城泰舒
 十八等青燈高燗徴平
 十月二十二日第十七回開會、出品者客員會員合せて四十六人、出品數百九十四枚、選評の結果上記の如し。
 意匠の二等は忠臣藏大序。六等は玄冶店。九等は芭蕉の句より出でたり。五等は釣鐘に蟹にて、蟹滿寺の故事より出しと覺し。かゝる繪には由來を記されたし。多かりしは蟹の横這と横笛とにて、優れて配置よきは選に入りたれど、他は皆二十等以下に落ちたり。技術の燈は、忠實に寫生されしもの高點を占めたり。
 十二月課題車(意匠)煙(技術)
 十二月二十日〆切 同二十四日開會
 十月二十二日は眞野氏日光へ往かれて不參、其代り草花の小宮氏が來られて、選評後ば常の通り合作繪葉書をやつた。席上某健啖家へ送るべく、あるとあらゆる食物を、二枚のはがきへ畫き盡して、共上滑稽の賛迄入つた頗る珍物が出來た。かくて第二の寫生會を高雄山地方に催すべく相談をして、散會したのは八時頃であつた。
▲繪葉書課題に奇警なる御思つきあらば出題せられたし。

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