繪ハガキ競技會記事


『みづゑ』第七 P.13
明治39年1月3日

 鳥(意匠)紅葉(技術)
 一等社頭野口六三山道小林珠郎
 二等鷺に鳥梶原景祐適端相田寅彦
 三等千鳥澤村豊諏訪の森山田全一
 四等雛小林華秋路傍瀧島寛水
 五等霞網相田寅彦河岸佐藤清
 六等水鳥後藤百次森津雲珠翠
 七等鷄榎本滋野中堀内汎
 ちようもく八等鳥目尾關春潮宮城野兒山陳平
 九等折鶴津雲珠翠紅一點横田順三
 十等烏中尾春雄大谷川飛鳥井信
 十一等烏三條千代子林後藤百次
 十二等鶴山田全一路傍片山羊太
 十三等鶴横田順三楓林島田晩韻
 十四等富士川倉永擣衣野中三條千代子
 十五等酉の市呉文炳水邊鵜澤四丁
 十六等月に鳥島田晩韻田舍道榎本滋
 十七等金の短册成瀬二葉むすめ須崎俊治
 十八等鳴子犬飼莊水戸隱倉永擣衣
 十九等雁のみだれ小寺健吉街道石田好
 二十等 富士川須崎俊治林赤城泰舒
(以下略)
 十一月二十六日第十八回開會。出品者五十四人、出品數二百二十一枚選評の綜果上記の如し。
 今回は意匠に於て格別奇抜なるものなく、四等小林氏の雛は稍群を抜けり。五等霞網、妙想なりしも技術は未だし。八等の作者は常に想に於て優れるものを出せり。技術紅葉も前回に比して傑作少なかりし。三等は美しく、八等宮城野は忠實なる描寫喜ぶべし。十七等、十八等共に意匠畫的にして、寫生の技倆を見る能はざるは惜むべし。
 一月課題平和(意匠)おもちや(技術寫生を貴ぶ、孤崖氏出題)
 一月二十日〆切同二十八日開會
 十一月二十六日は、來會の人意外に多く批評やら畫論やら旅行談やらに耽つて爲めに紀念繪葉書の合作も出來ず、此次こそはと約束して八時頃散會した。

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