讀者の領分


『みづゑ』第七 P.16
明治39年1月3日

 注意 長文及水彩畫に無關係のものは御斷り。
◎印は編者の答。投書の要點のみを掲ぐ
■春鳥會々員組織大賛成、條件附にて可成鞏固なる圍躰とされたく希望致候(土筆生)■親愛なる『みづゑ』讀者諸君よ水彩畫のスケッチ交換を願ます。未熟ながら一々答禮致します(津市大門町伊藤方春山生)■洋畫講義録の見本を注文したが送つて來ない。はがきで催促しても其儘である。吾が『みづゑ』にあの樣な不信用な廣告は出さぬやうにして貰いたい(鶯枝)◎何かの間違でせう一寸木田氏にお注意します■同好畫會の展覽會もよいがお手本の模寫陣列は止めて貰へまいか。僕等には何の興味もない(玄人がり生)■1水彩畫階梯は何頁で何程の判ですか2『みづゑ』文中に挿んである寫眞版も軈ては着色版に願ひます3丸山先生は雜誌を出される筈ですが本誌と合同してヨリ大なるものを出しては如何です(長野善光寺生)◎1菊判半截形二百五十八頁の惣クロースで美しい本です。2近き將來には見込がありません。3未定です■會員組織一日も早く御實行ありたし、併し繪て試驗されては到底覺束ないのですから其邊は然るべく(高松、久保生)◎水彩畫に熱心で志想の堅固な方なら現在繪が御上手でなくとも會員となつて頂ける樣に致します■1大下先生の水彩風景繪葉書の多摩川及東海道はまだ發行されませんか2三宅先生の水彩十ニケ月の題名が不明ですが御承知なら知らして下さい(長崎水彩狂)◎1昨年一月出版になりましたが直ぐ賣切れて再版は出來ません。2只今手元に其繪葉書がありませんから御答が出來まん■會員組織の實行を希望します□大下先生の畫帖はまだ出ませんか(九萬人)◎畫帖は廣告にある通りです■鉛筆畫の素養なきものは水彩畫を學ぶの資格なきなりと有之候が、鉛筆畫は夜分燈火の下にて習ひ得べく候哉(野琴生)◎『みづゑ』第四夜の稽古といふ消息文を御覽下され應用致され度候■『みづゑ』第六は目の醒むるやうである、あんな立派な雜誌を出して下さる編者諸君に心から心から御禮申上ます(芝枯峯)9『みづゑ』の栢亭先生の御説は面白く拜見します希くは先生の水彩畫も時々御掲出下さい(本郷淡風生)■前號に正覺山氏が和歌俳句を入れる事を主張されましたが私は大反對。若しそのやうな余白があるなら少しでも有益な記事を載せて下さい(南都奥山生)■『みづゑ』に和歌や俳句やを入れることはカツト代り位にして下さい月刊スケツチのやうになつては困ります(廣島岡田生)■畫家一ケ月の收入は大低何程位でせうか、この問は將來畫家にならうと思ふ人は皆其答を望むでせう(石見孤崖生)■日本畫家は知りません、洋畫家で中學程度の教師は一ヶ月二十圓から四十圓位迄場處によつて相違があります、新聞社へ出て二十五圓から五六十圓迄但何れも修養の時間はありません。書店の依頼物で版下を描くのは割合に収入が多くありますが是は其人の人(敢て技倆とは申ません)によります、肖像畫では世渡りの上手な先生が多分の収入を得るそうです。眞面目な風景や人物の眞の畫を描いてゐるのでは滅多に依頼はなく、よほどの大家にならなければ収入皆無と申のが畫家の眞相であります■秋のたよりの續稿を早く出して頂載(彩花女史)■1早く自筆畫の添削批評を受けたく候。2反對色の重なるものを示されたく候。3初學者の練習に適する彩色畫を挿入され度候。4寫生道具の製法を示され度候。5寫生のみにては岡じもの二枚斗り描かねば繪になり不申夫にても後には上達可致候哉。6自筆畫の添削を乞ふ時及送る時の手續如何(高鍋K生)◎1、2會員組織の規則の出來る迄お待下さい。2水彩畫階梯の色彩論を御精讀下さい。3只今實行中のスケツチの説明ではまだ税度が高過ますか。4取調中です。5一枚の寫生で出來上るやうにやつて御覽なさい、將來上廼の成否は町嚀勉強次第です■『みづゑ』は毎號玉泉堂から取つてゐますがなんだか初めて買た時は丁度暗中に燈火を見出したやうでした(足利K、T生)《以下次號へ》

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