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『みづゑ』第八
明治39年2月3日

□新年の賀状を寄せられし讀者諸君へ御禮申上候。特に御自筆の繪葉書は本會のアルバムに挿入して永く保存可致候。
□會員組織にっき御通知を賜はりし諸君へ御禮申上候。右にて御意嚮の程も相分り候に付重ねて熟議の上多分來月の誌上に發表可致候。
□豫て申居候通り、會員は極々僅少にても志想の固き人々と將來永く團結致度希望につき、入會の條件は多少過重なるべきも、其代り會負には出來得る丈けの便宜と利益とを頒つべき計畫に御座候。
□いつも豫告のみにて多忙の爲め實行を怠り居候が、近き號よりは水彩畫に關係深きデザインの一欄を設け大に圖案意匠の研究を致度、隔號若くは二號置位ひに發表可致候。此欄は丸山晩霞氏主として擔當致す筈に御座候。
□石井、石川、三宅諸氏も時々稿を寄せらるゝ約も有之、其他諸君に報すべき事柄も少なからず候に付、近々紙數増加を斷行可致候。
□初めて畫具を求めらるゝ方々の爲めに、所用の道具類一切を甲乙丙に別ち、一組何程と定め發賣致すべきやう文房堂に命じ置候。若し其内の一を求むるときは直ちに繪を習ひ得べく選擇に迷ふ恐れなしと存候、詳細は同店へ御照會相成度候。
□越後靜遠氏へ深き御同情を以て吾が『みづゑ』を愛し熱心其發達に御盡力被下候御厚志に對しては社中一同感謝致居候猶御希望の夏期講習會の義は本年は必ず實行可致候、序に鵜澤四丁氏は五姓田氏とは別人に御座候。
□足尾田島氏へ本誌の水彩畫專門主義は編者も同意見に御座候ローレル會詠艸については特に常よりは一頁を増し置候間御諒察被下度候。
□米澤川島氏へ御注意難有存候『みづゑ』の起りは第一號序文の通りに候廣告につきては精々信用あるものゝみを掲載可致候へ共一々立入つては取調べ候譯にも不參候間よろしく御推察あり度候。

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