繪ハガキ競技會記事
『みづゑ』第九 P.16
明治39年3月3日
平和(意匠) 玩具(技術)
一等田舍の平和相田寅彦大皷におかめ小林華秋
二等軍帽に鍬須崎俊治獅子頭牛木勇
三等一家團欒山田全一人形榎本滋
四等大佛に烏小林華秋大砲小林珠郎
五等鷄の家族赤城泰舒太皷にコマ佐藤清
六等海邊の寫生小林珠郎狐と大皷須崎俊治
七等釣網に小兒中尾春雄羽子板鵜澤四丁
八等稚子の眠り丸山廉犬はりこ相田寅彦
九等小兒に凧呉文炳犬はりこ加藤柯亭
十等春の野邊安齋健吾鞠におてだま堀内凡水
十一等武庫に蜘蛛の巣後藤百次おもちや箱野口六三
十二等富士篠原武重奴凧篠原武重
十三等太平曲牛木糸子福助後藤百次
十四等平和の鐘牛木勇人形山田全一
十五等晩歸堀内凡水犬はりこ河野竹子
十六等弓に蜘蛛の巣久保白泉人形居初いくよ子
十七等樺太の切斷河野竹子乘馬人形兒山紫谿
十八等平和の神磯貝貞子人形小林誠之助
十九等平和地圖丹羽光次郎太皷小高つゆ子
二十等高砂野口六三幻燈赤城泰舒
(以下略)
一月二十八日開會、出品者三十六人、出品數百三十七枚、選評の結果上記の如し。
この月は何故か出品少數なりしが、例月よりも佳作多かりしは嬉しき事なり、希くは數の多きを貪らずして質のよきものを出品せられたし。さて今回進境の目ざましかりしは相田、須崎、牛木勇の諸氏にして、從來高點か占め來りし野口、呉諸氏の作の振はざりしは惜むべし。兩氏の意匠畫は、着想に於て喜ぶべきも、其描法の稍陳腐になりし嫌あり、更に一段の奮發を望む。
猶當日は本會同人のほか五六の出品者參集、夜に入て簡單なる新年會を催ふし十二時頃散會したりき。
三月課題蝶(意匠、孤崖氏出題)
若草(技術)
三月二十日〆切
同二十五日開會
■意匠畫『蝶』は從來圖案として廣く用ひらるゝものなれば、有ふれたる意匠を避けて、自己の考案により奇抜なるもの出品せられたく技術『若草』は忠實なる寫生を貴ぶこと例の如し。