問に答ふ
『みづゑ』第九 P.18
明治39年3月3日
問、日本人の筆になれる鉛筆畫の臨本にして初學者に適するもの指示されたし
京都 MS生
答、小山正太郎先生の中學臨畫帖可ならん。發行所は日本橋通三丁目成美堂。
問、中學世界などの口繪は水彩畫の臨本或は參考として差支なきや津吉岡透
答、數万部印刷さるゝ由につき、刷色不同、且原畫は五六色より成りしもの故完全とは云ひ難けれど、解説と對照して見る時は差支なからん。
問、ピンクマターやローズマダーは水彩畫を描くに必要なりや、又代用品ありや、
茨城 河北生
答、初學者には用なし、たゞ美はしき花など描くに用ふるあり。人物畫にも有用なり。代用としてはカーマインの類を淡くして用ふべし。併し眞の透明せる美妙なる色は出で難し。