寄書 水彩畫に志せし動機及び昨今
羽後化汀
『みづゑ』第九 P.18
明治39年3月3日
里郷八九友人間に六七年前より新派俳句會なるものが、有て、一盛一頽今猶繼續して居るが、會の參考書に先年買た彼の子規隨筆の口繪に、子規氏が書いた水彩畫を見たのが、抑も僕が水繪に志した動機である。次て近年繪葉會書の流行が再熱の基と成た。漣山人が讀賣紙上に説く如く、俳句と繪葉書は趣味上離れ難き關係を持て居る。風景は勿論其他の嗜好物を寫生し、水彩繪葉書を作り、其れに俳句を書き同好に交換を申込むなど、昨今無無上の娯みとして居る。