受驗者のために
『みづゑ』第九 P.19
明治39年3月3日
◎東京美術學枚の規則中から西洋畫に關した點丈けを摘記する
○修學年限は豫備科一年本科四年○豫備科、毛筆畫實習、木炭畫實習、塑造實習、用器畫法、歴史、外國語、體操(外國語は英若くは佛の中一を選ぶ)○本科實習、解剖學、遠近法、美學及算術史、歴史及考古學、外國語、用器畫法、毛筆畫、教育學及教授法、體操、○豫備科生徒の入學期は毎年四月の初め○豫備科に入學する資格、滿十七年以上二十六年以下の男子、品行善良、身體強壯且以下列記する資格の一を具ふるもの一、官公立中學校及徴兵令第十三條により認可を受けたる私立中學校卒業者二、專門學校入學者檢定試驗の合格者三、同規定第八條の無試驗檢定を受くる事を得るもの四、徴兵令第十三條により認定を受けたる工業學校卒業者○入學出願の時は手數料金貳圓を納付する事○制服制帽は自費○撰科生は本科生に欠員ある時入學を許す○撰科入學資格は一、十七年以上二十六年以下の男子、一、所撰實技の試驗を受け合格したるもの一、高等小學四年又は中學二年修了以上のもの又は之と同等の學力を有するもの○其學力試驗は(一)讀書、假名交り文(二)作文及書取、簡易なる假名交り文(三)算術、加減乘除(四)歴史、日本歴史の大要○授業料一學年金貳拾圓を九月八圓一月四月各六圓宛三回に納む
◎以上は其大要であるそして願書差出期日は豫備科は三月二十日頃より撰科を募集する時は六月一日頃よりである。
◎次に前號に約した教員檢定試驗の問題は左の通りである
◎第十九回(丗八年)文部省檢定試驗一
圖畫科豫備試驗用器畫問題
注意(女子師範、師範女子部、高等女學校ノミノ教員志願者ニ限リ題中一問ヲ任意省クコトヲ得
一、Aハ直立畫面ニ在リテハ水平畫面ヨリ一寸二分離レBハ水平面ニアリテ直立畫面ヨリ一寸五分離レタル點ナリ而シテAヨリBニ至ル實際ノ距離ハ二寸五分ナリトス今此二點ノ投影ヲ求ム
二、直徑一寸八分長一寸ナル圓柱ト直徑二寸五分トノ相貫體ノ圖ヲ作レ但シ圓柱ノ軸ハ球ノ中心ヲ貫キ直立畫面ニ並行ニシテ水平畫面ニ四十五度傾斜スルモノトス
三、二寸四方厚七分ナル方板ノ中央ヲ貫ク直徑一寸六分長サ三寸ノ圓柱ヲ等角投影ニ畫ケ
四、注意ノ寸法ヲ以テ斜軸五角錐ヲ畫キ併テ其開展圖ヲ作レ
五、一邊二寸ノ正四面體兩畫面ニ傾斜セル平面ヲ以テ切斷シ其切斷線ノ投影及實形ヲ示セ
右三時間
圖畫(鉛筆畫)科豫備試驗(三時間)
師範、中學、高等女學校之内
臨畫室内之圖
新案野橋
女子師範、師範女子部、高等女學校ノミノ志願者(三時間)
臨畫山水
新案野橋
以上