讀者の領分


『みづゑ』第九 P.20
明治39年3月3日

 注意 長文及水彩畫に無關係のものは御斷り
◎印は編者の答。投書の要點のみを掲ぐ
■ソロソロ當欄に繪葉書交換が出て來たが返書をしない樣な人はないでせうな○前號みどり生の説大賛成(長野、ねづみ)■田舍に居ると門外一歩好畫圖であるが何故か繪の具がワツトマンに着きがわるい呵々(湘南山樵)■前號の景色速寫法は嬉しく拜見この種の説明を續々御出下さい○歌や俳句は多く歡迎せられぬやう願ふ(伯耆幽溪生)■從來日本畫(こまかき)及圖案を描いてゐましたが將來洋畫の研究に弊害となりますか夫とも階梯となりますか(青山K生)◎活用すれば益になります■御交際を望む同時に自筆繪葉書の交換を希望します未熟ながら屹度返信します(下總八日市場笹井健)■寫生會はいつあるのです(麻布T生)◎四月頃になりませう■1臨時増刊の募集畫は木炭紙に畫きしものにても差支なきや2大下先生の東西社の繪ハガキ目録を御示ありたし3水彩畫に金や銀を使用してよろしきや4競技會には技術、意匠何れか一方にても出品差支なきや(曙町黙蛙生)◎1差支なし2風景の方は小田原の新年、多摩川の月、晩秋、靜物畫は琴、柘榴、書籍3前號孤崖生への答の通り、4差支なし■水彩畫の繪葉書及スケツチの交換を願ふ答禮必ず(福岡縣糟屋郡新宮、荒木駒雄)■風景畫帖の印刷の立派なのには感服しました希くは第二集を出されん事を(京都SSS)■田舍に居ては教師もなく肉筆も見られず上達の意がないそれで繪葉書の交換を願つたら各地から畫を寄せられて中には立派な作品がある夫々相當の答禮をせねばならぬ爲め自然奮發して單獨にやつてゐるよりは利益がある乍併交換には取りつぱなしといふ不徳義漢があるが『みづゑ』讀者にはそのやうな人はない事と信ずる(松山市松前町三浦方筒井藪唐坊)■1眞野氏は遠近法に關する質問に應答すべしと有升が一問の答て有ますか又は有る册本にても有るのですか2景色寫生に鏡が必用だといいが應用法如何(越中、鶯枝)◎1御質問の旨趣不明瞭2凹鏡は實景の細部を模糊たらしむるものなれど敢て必要品といふ程にあらず■丸山氏の歐米畫堂巡禮物語を掲載しては如何(城西みどり生)■1紙數を増加するは賛成なれど不體裁にならぬやうに2注文は小爲換にてよろしきや(美濃大原生)◎1紙質は是迄通りのっもり2小爲換にても銀行爲換にても差支なし■1増刊に出す畫稿は靜物寫生にても可なるや2作品は小包の他に送る道なきや3コバルトとコバルトブルーとは同一物なりや(陸前K、Y生)◎1靜物にても可2四種郵便にても可なり3同一なりコバルトブルースカイは別なり■讀者諸君のうちに美術新報の古本を不用な方があれば相當の品と交換又は御譲りを希ひます次にエハガキ交換も願ひます(石見濱田中學寄宿舍後藤孤崖)

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