評
『みづゑ』第十二
明治39年5月3日
◎實用寫眞數學久野轍輔著
日本橋本町小西本店發行
四六判二百四十頁クロース綴正價
五十錢
此書は寫眞術に必要なる數理并ひに其計算法を示し多くの例題を擧げ極めて平易に説明したるものにして苟も寫眞機を弄ぶものには一日も缺くべからざる好參考書なるベし、猶附録には各種の乾板及白金タイプ臭素紙等の現像法を初め鍍金液の製法等洩さず記されたれは、初學者にとりても有益のものなるべし
◎寫眞例題集第十九卷第二十卷
大坂桑田商會發行
疊紙入十枚一組各金參拾錢
何れも美しき出來榮なるが第十九卷の猫は名畫を見るが如く春雨、寒き朝、鐘樓の曉等は位置に於て優れるが如し第二十卷は何れも船の圖にて位置として吾等の目に快よきは雨中の網、河畔の曉雲、春の水面等なり