問に答ふ


『みづゑ』第十二
明治39年5月3日

■透明不透明色は如何なる場合に用ふるものにや、又餘色、共通色などは如何なる關係を及ぼすものにや(櫃口きぬ子)◎時々『みづゑ』紙上で説明はしますが『水彩畫階梯には詳しく記してあります■意匠と圖案と模樣とは如何なる區別ありや、又意匠圖案の研究法は如何なる方法によるべきか(陸前K、Y、)◎美術上では壁紙とか織物とかに現はれた絞樣を模樣と云ひ、圖案とは組立といふ風にもつと廣き意味で、意匠とは夫等の圖案や模様を創作する力をいふのです。又其研究法はいろいろあつて、爰には一々御答が出來ません、多分來月あたりから丸山氏の講話が出ませう■1堤など草木の茂つて居る所はいかにして描くべきか2ある果物を畫くとすると其背面の色は何なりや、又影は物體に似たる色にて描くものにや(愛讀看)◎1大體の色と形を捕へてかくのですが口や筆先で説明が出來ません良好の臨本でも見て自ら發明されたし。2果物の色によってうつりのよいのと惡いのとあります、又影は物體に似た色とも限りません下の臺の色にも關係します、實地に寫生して研究するが一番近道■1水彩寫生箱と、水彩畫の栞に列記された諸器具を携ると何れか便なるや2通常水彩寫生箱には如何なる附屬品ありや3油繪用携帶箱を水彩用にする事を得るや(初學者)◎1、2水彩寫生箱は何の附屬品もなければ筆洗、繪具其他の器具は皆整へねはならぬ、但筆洗丈は其箱に合して作りし者あり2工風すれば間に合ふべし■1外國製水彩畫手本を知りたし2クレオン、パステル、肖像畫の手引書を知りたし(大和の山人)◎1StudiesinAnimalPaintingsLandscapePaintinginWaterColours.Flowers.andHowtoPaintThem.ACovrsofPaintinginNutraltint.MarinePainting.等で一部金貳圓五拾錢、東京日本橋丸善書にあり2省像畫法は牛込神樂坂盛文堂發行の肖像畫法といふ書あり他は知らず■LAKEとは如何なる意味にて候哉(曙町默蛙生)深紅といふ意■硬くなるとは如何なる風なりや(S0生)◎タトエバ物體の輪廊恰も紙を切抜て貼付たやうにキッパリする事をいふ■1水彩畫の石版と三色版と何れが臨本とする.に適するや2鉛筆畫を練習するに最も適當なる臨本を知りたし(下谷SL生)◎1良好なるものなれば何れにても變りなけれど石版の方が模寫するに容易ならん2内國製にて初學者向は日本橋通三丁目成美堂發賣の小山正太郎氏筆中學臨本、又參考畫としては神田中西屋發行三宅氏の墨繪講話よからん、定價未詳■鉛筆畫に適當なる紙は何なるか(ST生◎“B”印ドロウイングぺーパー一枚六七錢以上のもの■鉛筆畫の初學の臨本を教へられたし(ふぢ)◎前に答へし通り。

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