讀者の領分
『みづゑ』第十三
明治39年6月3日
■1丸山先生の繪葉書山と水のうち鴻の巣ノ原碓井峠とあるは何處にして何の繪なるや2大下先生の繪葉書は出版の年月順に漸次淡彩より濃厚になりゆくやう覺ゆ右は先生御手法の變化か印刷の進歩か又出版所によつて異なるにや3繪はがきに夢又は夢二の號あるは誰か4寫生箱自製法御示しを請ふ5繪ハガキ競技會題課は前々月中に發表ありたし(靜遠)◎1鴻の巣ノ原は赤き岩の突立たる縱畫、碓氷峠は崖道の中央に圓き紅葉の一樹あるもの2何れも皆違へり只其時の繪の都合によるのみ3竹久茂二といへる青年畫家氏は早稻田商科の出身にてアマチユアより出し人圖案の方面には有望の人なるべし4圖説を要する故延引勝になれり5毎月課題に苦しむ爲め前より定め難し宜しく奇抜なる課題を案じて報ぜられたし■會へ金圓を寄附さるゝ人が澤山あるが僕のやうな貧的には出來ないから其代り讀者を幾人か必ずこしらへます諸君も一憤發しては如何(大阪の男)■『みづゑ』の愛讀者で私と自筆(水彩畫)繪端書の交換をしませんか私は只取するやうな不實なものではありません(麻布霞町十七金江龜)■本年夏期に水彩畫の講習會が開けますか何卒七月早々始めて下さい(下谷初學者)■『みづゑ』愛讀者諸兄姉よ自筆水彩及繪ハガキの御交換を切望します未熟ながら必ず吾北海の風景を紹介致します(小樽區手宮町十九、鈴木樂夢)■水繪第二は何日頃出來ますか(樂夢)◎少くも二百部以上の申込がなくては取掛り兼ます■會員組織になつて試驗をされると困ります落第者にも『みづゑ』の買へるやうに願ひます(下谷心配生)◎會員は條件附で少數の團結と思ひますから雜誌は廣く發賣します■會員組織になつたら一定の會員章を件って實費で頒つて下さい(最愛讃者)◎御望の通りにします■僕は新に『みづゑ』の讀者三人を募つた、十人も募つたら何か御褒美が出ますか(横濱巴水)◎直接讀者で明かに其名を示して下さい何か便宜を圖りませう■自畫交換せん、疑はざる人よ(松山市松前町五丁目筒井角太郎)■本誌愛讀者諸兄よ諸兄の中に明年美術學校入學志願者があつたら僕と交際して下さい。又自筆繪葉書や圖畫に關する書籍の交換る願ひます(下總成田中學五年橋爪石民)■理想とせる大下先生及諸大家の中日常畫室中の御模樣承り度候(兵庫自然)■第十號の表紙の色は卑俗△口繪の石版畫は毎號ハガキ大に一定せられたし△毎號石版の一葉は是非大下先生の風景を願ひたい(京都霞峰)■定價を二十五錢位迄値上して紙數と石版畫を増加されたし(大阪乙部孝)■風景畫帖第一集のやうな美事な印刷は他に見ない希くは一日も早く第二集を出されん事を(下谷渇望生)■競技會出品の繪葉書には一々一錢五厘切手を貼附すべきや(知り度生)◎夫に及ぼず單に會費五錢を別に添え置けばよし■自作になれる水彩葉書の交換を望む但し到着否や拙筆ながら必ず返信す(秋田縣河邊郡和田小學校内高橋松治)■僕は非常に水彩畫に趣味を持つもの自筆畫交換を望む(栃木縣栃木祝町三澤恒吉)■1繪ハガキ競技會の出品は一人で二枚以上出しても皆同等の者を返して呉れますか2備後佐々木君の御宿所を知りたし3石見孤崖君五月十日頃出したのゝ返事を御早く4十二號で一番よいと思つたのは初瀬の藤一寸大下先生の筆に似てゐる(京都霞峰)◎1何枚でも同じ2備後國東城町■水彩畫夏期講習會御開催の程待ち上居候敢て小生一人の望みのみにあらざるべしと存候(みづゑ愛讀者)■『みづゑ讀者諸君よ何卒御作のスケツチか繪葉書かを送つて下さい僕もまづくはありますが必ず必ず御送します(福井市寳永中町三十八後藤曉露)■購讀者諸君の内で『みづゑ』第二の不用お持ちの方は相當の價にて讓つて下さい折目があつても構ひません(千葉縣匝瑳郡福岡町笹井健)