繪ハガキ競技會記事(第二十四回)
『みづゑ』第十四
明治39年7月3日
繪ハガキ競技會記事(第二十四回)
斜(意匠)朝(技術)
一等斜陽榎本滋雪の朝赤城泰舒
二等かし家札森榮一野道和賀井恂
三等綱干金江龜野邊の朝野口六三
四等雨後藤百次港の朝中臺枯星
五等ピザの塔高畑徴平親船 佐藤清
六等袈裟中尾春雄高原の朝相田寅彦
七等球戯佐藤奇巖旭日後藤百次
八等蓮の葉野口六三大沼の朝小嶋虎太郎
九等三筋の絲山田全一朝の林瀧嶋寛水
十等襷河鰭達夫うがひ道具兩角團次
十一等汽車道中尾正幹晩春の朝大橋三平
十二等水車の堰小林珠郎朝景色飯田紫山
十三等影斜なり赤壁徳彦朝の海久保周一
十四等彌次郎兵衛瀧嶋寛水大河の朝加藤沒趣味
十五等虹丹羽光次郎海の朝中尾正幹
十六等火山小島虎太郎川沿道鈴木登
十七等花の雨相田寅彦朝の田面松原久安
十八等机上の鏡飯田紫山 野の朝 小林誠之助
十九等尺八和賀井絢水邊の朝村上丸太
二十等石段爾角團次湖畔の朝飯野芳太郎
(以下略)
五月二十七日開會出品者四十八人總數百七十九枚選評の結果上記の如し
意匠の一等は奇抜なる圖案といひ難けれど色調よく二等の貸家札は多くの同案のうち群を抜けり三等網の斜なるは面白く四等有ふれたる意匠なりしも描法老練なりし其他鐵道の着車信號を描けるもの多かりし次に技術の一等は雪の翌日晴れたる朝の寒き惑じも充分見え一本高き杉の梢に朝日の強く照せる心地よき畫なり二等霧の道も佳作三等四等またよく趣を得たり九等は技術に於て最も優れたるものなりしも肝心の朝といふ趣を缺けるは惜むべし
七月課題
螢(意匠)凉風(技術)
七月二十日〆切七月二十二日開會
▲七月は日本橋區本石町十軒店三番地門井學校内水彩畫講習所で午後二時から開きます出席者は〆切日迄に御通知ありたく當日は會費金拾錢御持參の事