讀者の領分


『みづゑ』第十五 P.20
明治39年8月3日

■畫嚢を肩に手輕に東化の勝景を探らんとする讀者諸君は下名に立寄られよ余は無錢宿泊の便を與へ親しく筆言を交へん當地は秋田市より四里停車場あり但し豫報を望む(秋田縣河邊郡和田村高橋松治)■1大下先生の風景畫帖の繪を寫眞版として『みづゑ』に出されたし2繪ハガキ交換を此欄に載せず別に交換欄を設くべし3桑田商會の寫眞例題集は東京に取次販賣せりや4美術界の消息欄を設けられたし5炎天で寫生は有害不便なりや(新宿みどり生)◎1早晩試みて見ませう3知らず4水彩畫に關係ある者は.漏さぬつもり5隨分畫面に汗を垂して寫生する事もあれど頭にも眼にも害あるべく樹陰等にて執筆する方よからん■僕讀賣新聞の三宅先生の御話に頗る疑を抱いてゐたが時評子の説を見て同感にたえぬ(一紅生)■三脚床凡筆洗水筒少々古くともよいが僕の一ヶ月前に買つた藝用解剖學又は二十錢以上の書物と交換して下さいそれでも不足なら泰西名畫はがきを送る(深川區西平野町一、石井方鈴木錠吉)■『みつゑ』十三の表紙には充分滿足を表します(松山靜湖生)■夏期講習會で諸先生と共に寫生にゆけると思ふと私は八月が待遠で耐らない何卒實行して下さいそれでないと大々失望をします(うすらひ)■1中尾正幹、古川熊三、呉文平氏の御宿所を知りたし2遠近畫法の書があれは何かと交換されたし(宇都宮馬場町一、一、吉井孤雁)◎1中尾氏尾道市土堂町南の坊、古川氏岩代若松市材木町呉氏不明■會費と雜誌代と同額で其上繪の添創初め多くの便宜を興へらるゝ幹部諸先生の御親切は謹で感謝します(新會員)■水彩畫貸興規限は往復日數を除かれたし(靜雄)◎往復日數を除きます■『みつゑ』十三の夕雲はよかつた○色彩應川論は面白い榕村主人とは誰ですか○丸山先生のデザイン引續き出して下さい○初學者の絡繪好教訓(エス、アイ)■相田寅彦君、瀧島寛水君、後藤百次君兄等の繪は競技會から僕の處へ來ました御佳所を小生迄(函館港辮天通五十八、小島虎太郎)■東北洋畫展覧會は六月臺に開かれた中々盛會水彩の重なる作者は高橋五平、兒山陳平、工藤豊治、神孫子源太郎、大竹長治、鷹野翠、山高五郎の諸氏(陸前KY生)■夕雲は氣に入ました次には海の景を出して下さいそれから先生の御寫眞を早く(曙町默蛙生)■『水彩畫講習處の懇親會の和氣靉々たる處を『みづゑ』愛讀の諸君に見せたかつた(無藝生)■山野は緑、川は藍を流す好時節になれり下手な臨本と首ッびきはやめて大に効外に好畫を探る事たねー諸君(枯星)■橋爪天民君御返事を、三澤恒吉君郵税未納です(筒井)■鳴呼吾地水彩畫を學ぶの士決して少なからず見よ錦崖先生は眞岡に筆を染むる事一年有余曾て新聲の緑影にて世の注意を惹きし北村氏又常地の産なり宇陽の和賀井、吉井の諸氏は共に本會に勇を振ひ飯野孤菫氏又有爲のアマチユーアたり(藤井冬峰)■私はローヤル畫集を所持してゐますサロン畫集と交換される方はありませんか(名古屋市南鍛治屋町五ノニ〇一小池方犬飼)■麹町區内に夜分水彩畫法の講義する學校なぎや(新入者)◎聞及びませぬ■昨年廣告のあつた萬國繪葉書交換會は如何相成しや(辻本一夫)◎其後の消息を知らず本會主任は確なる友人よりの紹介にて單に鑑査員たるを諾せしのみ■富山縣に『みづゑ』の愛讀者ありや(鶯技)◎一寸取調兼ますが澤山はない■寫生族行談では前號の飛彈の旅が第一である續稿は九月に是非願ひ候次に旅舎の吉田氏?の持つてゐるものは何ですか(みとり生)◎筆者旅行中にて不明■非利慾主義で盡力さるゝ御會の事業には感謝の念を不禁候(松の家どり)
■1大平洋畫會或は白馬會などの畫集は何處にありや2肉筆の繪葉書及畫は如何すれば、得らるゝや(長野8K生)◎1前者は多分賣切後者は金尾文淵堂、價未詳2畫家に直接依頼すべく大家なら繪葉書にて三圓以上五圓位

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