『みづゑ』第十六
明治39年9月3日


 ◎寫眞例題集第二十八巻
  大阪心齋橋通桑田商會發行
 コロタイプ寫眞版十葉三十錢
 寫眞版として成功せるは他に類なく挿入の印畫の鮮麗にしで位置の面白きは感服、就中滿つ潮、早瀬の二點は極めて繪畫的にして畫家にとりても好參考品なるべし。
 ◎笑の國巖谷小波作
 日本橋本町博文館發行
 四六形三七二頁六十錢
 、短篇、狂言、小話と附録に喜劇が一幕、内容は表題の通りで、休暇の友と冒頭にあるが、いつ讀んでも面白い本だo思案外史曰く『此書世界の人々に可笑がられるのは、僕の疑を挾み得ぬ處で、これを疑ふものが假令一匹たりとも半分たりともあつた曉には、只從來暴威を揮つた例の櫟を嬉し喜ぶ大俗輩で、到底手を携へて笑の國を逍遙する事は出來ないんだ』云々

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