繪ハガキ競技會記事(第二十七回)


『みづゑ』第十七 P.19
明治39年10月3日

繪ハガキ竸技會記事(第二十七回)
 暑熱(意匠)河(技術)
 一等濱邊那須田重雄靜流和賀井汀波
 二等曝書中尾正幹勝見川後藤曉露
 三等鬼瓦後藤百次北上川海老名研二
 四等赤道直下鈴木昇里川藤田紫舟
 五等日盛り工藤太郎多摩の遠望堀内汎
 六等犬のあへぎ藤田紫舟周布川後藤百次
 七等肌脱ぎ飯田宗吉多摩川赤城泰舒
 八等梅干榎本滋夏の河工藤太郎
 九等向日葵筒井角太郎朝の川加毛精一
 十等アフリカ吉川晴帆川ロ野ロ六三
 十一等雨乞中尾春雄里川吉川晴帆
 十二等雲の峰長谷川晩雪渓流牧野露香
 十三等蝉後藤曉露木津川乙部笑波
 十四等夏赤城泰舒河邊立花甚之助
 十五等蝉樋口絹子小河榎本滋
 十六等氷屋瀧島寛水小流石田翠彩
 十七等雲の峰海老名研二九頭川の上流樋ロきぬ子
 十八等臨時列車森榮一多摩川中村愛亮
 十九等百二十度須藤隆治大川の上流相田寅彦
 二十等正午池田眞人小川中井栖石
 (以下略)
 八月二十五日青梅に於て開會、出品者六十五人、總數二百五十六枚、選評の結果上記の如し。
 課題困難にして意匠畫に佳作少なかりし、一等は暑苦しき色彩を用ゐずしてよく其感を現はしたり、二等曝書に百日紅をあしらひしは嬉しく、三等鬼瓦は筆數少くして意味深かりし、猶出品畫中に氷屋を描きしものありしが、多くは涼しき感を起すものゝみなりし。技術、河には佳作あり、一等は穏やかに、三等は筆致放奔の態ありし。
 瀧島寛水、相田寅彦、横田順三諸氏の奮勵を望む
 十月課題
 秋の夜(意匠)
 小春(技術)
 十月二十日締切
 十月二十八日午後二時より日本橋區本石町十軒店三、門井學校内にて開會
 但出品書は小石川區關口駒井町春鳥會宛に送られたし
 ■十月課題意匠の部は(奇抜)の誤

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