繪ハガキ競技會記事(第二十八回)
『みづゑ』第十八
明治39年11月3日
繪ハガキ競技會記事(第二十八回)
奇抜(意匠)初秋(技術)
一等久米の仙人吉川晴帆田舍道赤城泰舒
二等角帽と廂髪池田眞人朝顔中尾春雄
三等水筒の鏡赤城泰舒秋の野若山某
四等扇の要海老名研二稻田相田寅彦
五等熊小島虎太郎水邊加毛精一
六等元禄染宮澤汀煙秋の野森貫一郎
七等淺間の火坑田上勉輔田舍若村光次
八等司馬温公中尾春雌山村の朝工藤太郎
九等士官藤田紫舟野邊中村愛亮
十等高山彦九郎長沼光雄湖上の朝立花甚之助
十一等一里塚牛木勇障子の貼替高橋松治
十二等女學生の登山藤井冬峰桐の一葉吉川晴帆
十三等踴高橋松治田舍道海老名研二
十四等猩々鈴木錠吉大宮の秋森榮一
十五等五条橋近江光峰背戸久保周一
(以下略)
九月二十三日水彩畫講習所に於て開會、出品者四十二人、百五十五枚選評の結果上記の如し
意匠の一等は奇想天外より墜つるの慨あり、二等は取材平凡なれど其現はしかた極めて奇抜に、三箏凸鏡に映じたる長顔又面白し、四等は色彩の調和尤も佳なりし、技術に於ては比較的佳作少なく、十一等は初秋といへる畫題に對して極めて適切の思ひ付なりしも、障子の棧の縁の外なるも可笑しく、庭の草木に秋の感少しもなかりしは欠點なりし。
十一日課題
意匠壯嚴
技術建物
十一月二十日〆切同二十五日午後二時より日本橋區本石町★、門井學校内に開會
但出品畫は春鳥會宛送られたし