寄書 繪心

せいいう
『みづゑ』第十八
明治39年11月3日

 假令此上の悲慘に遇ふとも所詮忍耐はできない故、斷然决行しようか、
 久しく我胸に餘る煩悶を如何にせばやと思ひ煩ひつゝ、朝まだき人なき街道を、とぼとぼと辿るのである、
 道の邊りの萩や野菊はたはゝに咲き亂れて並松の間からはちらちらと沖行く自帆、其上に朝燒の雲のたゝずまひも面白く、汀には錨卸せし二三の漁船、

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