『みづゑ』第十八
明治39年11月3日


 ◎水彩風景千紫萬紅(下)
 丸山晩霞筆
 日本橋通二丁目松聲堂發行
 石版刷六枚一組金三十錢
 櫻、桃、李、菜の花、藤、秋草等何れも艷麗なる色彩にして印刷又あしからず丸山氏の花を描くに巧なるは世巳に定評あり初學者の參考畫として適當なる繪ハガキなるべし(KSK)
 ◎寫眞例題集三十一巻
 大阪心齋橋通桑田商會發行
 コロタイプ寫眞版十葉三十錢
 奥田氏の『雨後の深山』身は其境にあるが如く、高田氏の『漁船』タテ畫として如何のものにや、山下氏の『朝霧昇天』は鮮明の出來、津曲氏の『海のもの曉色』主眼何處なりや圖の統一なきは憾むべし、平井氏の『路傍の馬』面白く、大西氏の『漁り』は心地よき出來なり、從來單に關西地方の風景のみ紹介されしが、漸く關東方面の印畫を見るは嬉しきことなり。

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