受験者のために
『みづゑ』第十九 P.21
明治39年12月3日
◎東京美術學校入學試驗の事につき屡々問合せあり、よつて同校某教授より示されたる本年試験成績を左に揚ぐべし
一、入學志望者は期日(毎年三月頃)迄に願書履歴書を差出す事
一、志望者は中學卒業、或は同程度の認可學校卒業のものに限る
一、願書を差出す時は特に何科へ入學し度かを申出る事
一、毎年四月選抜試驗を行ふ、但選抜試驗は志望者の數が豫定の人員を超過したる科に就てのみ行はる
一、本年の選抜試驗は洋畫科及圖案科に於てのみなりしと覺ゆ
一、選抜試驗の課目は、和漢文、日本、東洋、西洋、歴史、用器畫法、實技(洋畫は木炭、鉛筆畫、圖案科は圖案)
一、選抜試驗に及第せしものゝ内より豫定の人員を限り入學せしめ、始めて豫備科生徒に編入するものなり
一、豫備科生徒は、三ヶ月間美術歴史、外國語(英佛何れか)體操、用器畫、實技の教育を受け、六月下旬に至つて左記の學科につき終末試驗學行せられ、後始めて本科一年生に編入さるゝものなり
一、入學者と志願者との割合は、洋畫科に於ては入學願書受付六十六、其内選抜試驗により豫備に入學せしもの三十名、終末試驗により一年生に編入せられしもの二十三名
一、選科生は毎年必らず募集するとは定まり居らず、本科生に缺員ある時に限る、本年洋畫科は五名だけ入學許可されたり
一、選科生の入學試驗は、九月十二日より十八日迄、實技の試驗を行なひ、且高等小學二年卒業せざるものに限り、十九、二十の兩日に、讀書、作文、及書取の試驗をなし、夫等に及第せしものを選科一年生に編入す
一、本年選科志望者は三十名ありで五名入學を許されたり、尤も實技は二回行はれたりときく
以上
◎本年入學試驗の問題は取調べそのうち報導すべし