讀者の領分


『みづゑ』第十九 P.22
明治39年12月3日

讀者の領分
 注意
 長文及水彩畫に無關便のものは御斷り。◎印は編者の答。投書の要點のみを掲ぐ
 ■『みづゑ』第十八は口繪も立派で記事も富んでゐて頗る嬉しい、殊にコツトマンの作品を出して下すつたのは實にうれしい今後も西洋畫伯の作品をドシドシ紹介せられん事を願ひます(虹影生)■1我々貧生の爲めに振替貯金に加入されたい2大下先生の畫帳は今度は冬と春を來年一月頃出して下さい3果物か花の口繪を出して下さい4ソバで見れば奇麗だが隔れば活氣がない、それと反對にソバではこれでも繪かと思ふのが隔れば好く見える、ドゥかして何處で見ても立派に見えるやうに描きたいが我筆は至らぬ(長野KO生)◎1其うち手續致しませう2畫帖は當分出版出來ません、其代り來年から口繪を少し大きくします■五二共進會へ西洋畫を出す人の氣が知れない、アレハ營利的の團體だ、しかもあの無禮な待遇はドゥか僕等は憤慨に耐えぬ(本郷一紅)■競技會エハガキに貴會のスタンプを捺して下さる事は出來ませんか、望み人は單に僕一人ではありますまい(小樽ラク生)◎多数に付鷹じ兼ますが課題の分丈でもなるべく捺す事にしませう■水彩畫講習所新築大賛成私も大に知友へ勸めて加入させます、同好者諸君春鳥會發展の爲お互に此事業を助けやうではありませんか、春鳥會萬歳!(京都西陣汀草生)■1丸山先生主幹の下に發行せる水彩畫講義録(水彩畫研究會發行)は如何なる先生方の執筆に係るものにや2右講義録は洋畫講義録の如く印刷精巧を極めたる口繪多数ありや3會費六十錢とはチト廉ならざるが如し、相當の價値あるものにや4松山YM生に答ふ東區東平野町五丁目百八十五番地です(浪華、福島晩華)◎1、2、3、右講義録は丸山氏一人の擔當で夫につき同氏の答は下の如し「本年一月文淵堂より依頼され、一月より滿一ケ年間季に應じて風景畫の講話をなし、一ケ月一回即ち十二回にて全部結了の筈にて春の繪を送り置きしが、其後何の沙汰もなかりしに、此頃に至り漸く發行致す事となりたるなり、講話は充分責任を盡し、畫は毎號八枚の原色版を挿入せり、講話は畫の始原より爲す事にせり、臨畫には一々説明を附せり」云々■金尾文淵堂廣告の水彩畫研究會は春鳥會に關係ありや又水彩畫講習所地方部と同一のものにや(呉水巴生)◎本會に何等の關係なく又地方講習生の待遇と同一に非ず■『みづゑ』第一入用ですが誰君が御譲り下さる方はありませんか(宇都宮市馬場町石田富藏)■晩華君水彩畫手引を譲受する積りであつたが、昨日友人の處で見たらあまり欲しくなかつたから止めました惡しからず(松山YM生)■作品に對する親切なる批評、加ふるに肉筆臨本の頒布、小生共は實に大喜びです、望蜀の誹あらんかなれど、吾々會員に對して右肉筆畫臨本の割引は願はれまじきや(一會員)◎割引すべき性質のものに非れど、會員或は會員の紹介による希望者には遞送料丈け本會に於て負擔すべし■『みづゑ』第十八號奇抜意匠「久米仙人」の説明を願ひます(神戸MY生)◎あの圖は久米仙人が婦人の脛を見て天から墮つる處で上部は青空二本出てゐるは仙人の兩足中央は黄色の雲、下は白き婦人の足で前は水です

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