問に答ふ


『みづゑ』第二十一
明治40年2月3日

■『みづゑ』第六赤城の秋のうち華秋、黙念、汀鶯氏は誰方に候哉又外國の鉛筆畫の手本は何程に候哉ニユートラルチント及セピア畫のもの有之候哉(淺草MS生)◎華秋は小林幅太郎氏、默念は眞野紀太郎氏、汀鶯は大下氏に候。次に外國製鉛筆手本は佛人カッサン氏のもの尤もよく價は二十圓程ときく、他に數種あり丸善書店に問合されたし一色畫の臨本もあり■要塞地寫生の免許を受けるには如何にすべきや(芝愛讀者)◎願書雛形は紙面の都合にて掲載すべし、併し中々許可にならぬものと覺悟せられたし■1『みづゑ』第一はいつ發行になりますか2日本畫の繪具にて水彩を畫き得るや、日本畫の繪具は變色せぬといふ如何なるものにや3寫生の時人の集まらぬ方法なきや4沼地などにて三脚の脚の深く入り込まぬ法ありや5汽車自轉車の急寫法ありや6岡田三郎、山田汀、工藤大郎三氏の宿所を知りたし(栃木眞岡中學若山隆)◎1口繪の石版畫なき故多數の申込にあらざれば三版發行出來ず2差支なし、但變色する繪具ありときく外に良法なし人3が集まつても氣にならぬ程寫生に熱中するのは積極的のやり方なり4外に方法を知らず近處にある材料で工風したまへ5平素動かぬ時よく見て置き其形を心得て置たらいかに早きものにても其感を現はし得べし6東京牛込區大久保余丁町十八岡田三郎、仝日本橋區堀江町三ノ四山田佐吉、青森縣三戸町在府小路町工藤大郎■溶解ラックは墨繪の上にその儘て塗りてよろしきや、霧吹を用ふる時は長短何れを如何致してよろしきや(藏前HB生)◎必ず霧吹を用ゐられたし、霧吹はなるべく細かく霧の出るものなら何にてもよろし、少し離れて吹かぬと畫面を損すべし■1ワツトマンの表裏は文字の順によるにや2マットとは何のことか3臨時増刊はいつ出るにや(陸前K、Y生)◎1文字の順にてよし、但何れの面へ描いても別に相違を見ず2マットとは畫と額縁との間に入るゝ紙若くは薄板の事にで其紙を畫面丈切抜たるものなり3未定■『みづゑ』第十九の秋の夜の設色を説明されたし(米澤HK生)◎地の色は薄きネブルスエロー圓の中の地は薄鼠葉は濃きオリーヴ薄の穗はエローオークル月は白琴柱は黒なり■1肉筆臨本はドノ位ひの大さにや2繪畫の寄稿には寄稿と明記すべきや又返送を望む時は直ちに返さるゝや(南海の一會員)◎1凡そハガキニ枚大なれど一定せす2明記されたし佳作と認めしものは寫眞にとる爲め返送延引すべし

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