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『みづゑ』第二十二
明治40年3月3日

□新築すべき研究所(講習所改)の位置は小石川區水道端町二丁目に决定致候、同所は閑靜にして石切橋に近く、電車の開通も數ケ月を出でざるべく便利の地に御座候
□本會に於て新に振替貯金に加入致候に付、會費雜誌代の拂込は勿論、講習所新築寄附金も右振替貯金にて御拂込相成度、口座番號は六九六三番に御座候。猶拂込用紙は何處の郵便局にも有之候、次に御拂込の際は必ず登記料金貳錢を添えられたく候。
□本月末日迄に御提出を求めし會員の作品は、出來得るたけ眞面目に研究せしもの望ましく候、これ等の繪は、他日本會展覽會開催のせつは場中の花と致度希望に御座候。
□繪ハガキ競技會第三十二回の課題は四月(意匠)花(技術)にして。〆切は四月二十日迄同月第四日曜日水彩畫講習所に於て開會すべく、會費は五錢、總て前規定の通りにて、出品は本會へ宛御送付相成度候、但規定は『みづゑ』第十九以前の巻尾に有之候。
□長野に於ける洋畫講習會發起人齋藤氏より左の書状に接し候
 拜啓先般年頭御繁忙の折から且つは嚴寒の時節にもかゝはらず永々當町へ御出張下され日夜長時間非常なる御熱心を以て御指導なし下され講習員一同感謝まかりあり候、從來種々の講習も有之候へ共今回の如く價値あり興味ありし講習はこれなかりし旨一同申候居將來は益々怠らず技術の修養をつとめ居り時機もあらば又々今回の如き講習を開き御教示を仰ぎ度希望まかりあり候、殊に小生の如き多忙め職務を有し居候へども何卒して今少しく技術の修養いたしたく希望に御座候へば地方講習生の一員となり時々御批評を仰ぎ度存居候間御指導の程幾重にも奉願上候(下略)
 何種の講習にても其開催中は非常に勉強するも一度講習濟みて後はまた打捨てゝ顧みざる人多き中に絶えず修養を心掛け居らるゝ齋藤氏の如き人あるは喜ばしき事と存候

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