編者より


『みづゑ』第二十二
明治40年3月3日

◎北條町永井氏へ遠景は面白し、中央の紫色ぜるもの島としては透明に過ぐ、雲は硬し◎山日蓼江氏へ浪は態とらしく不自然なり空の斜の雲も一工風ありたし、人物は形よけれど調子整はず夜の趣なし◎横濵金澤氏へ忠實なる寫生敬服殊にオレンヂはよく出來たり但前の白布恰もブリキ板の如しこの種のもの一層研究ありたし◎淺草森氏へ繪は硬けれど感じはよく現はれたり◎宇都宮和賀井氏へ位置面白からず平素の御手際に劣る事數等◎京都北村氏へ紅葉は中景先不得要領ならずや、橋は佳、桂村はよき出來、桃の花は失敗、桃の暖かき感じなし又前の竹の緑は幼稚なる色なりェメラルドクリーンは使用を愼み給へ、下如茂面白き繪なれど不眞面目の寫生なり、島の圖は不難の出來但水に映りし影の色は一研究ありたし

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