見物人豫防法


『みづゑ』第二十四
明治40年5月3日

 戸外寫生に見物人の集まつて來るのはウルサイものだが、さてこれを防ぐよい方法もない。或人は見てゐる前で物を食ふとよいと云はれるがこれも際限のない話である、叱りつければ子供などは仇をする、砂でも撒かれたら堪らない、キタナラしい子供でも坊ちやんはよい子だからソツチへよつてをくれといふと素直に言ふことをきくが、ドケドケなんといふと中々意地張るものだ。ある西洋人は、人が來ると直ぐ繪に掩をして、其人の立去る迄濟まして煙草をのんでゐにといふ、それも暇潰しである。人が立つたらスケツチブツクを出して其人の顔を寫生し始めれば、大慨のアツカマシヤも逃げ出すであらうが、まだ實驗はして見ない、そしてこれは一人や二人には應用が出來るが、澤山集まられた時は駄目だ。はて何かよい工風はないかしらん。

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