寄書 娯樂としての繪畫
龍東生
『みづゑ』第二十四
明治40年5月3日
今は小學時代より繪畫に就ては殆とゼロであつたが、昨年或る本屋で「みづゑ」を見たのが動機となつて大に繪畫の趣味を惹起したので、其後「みづゑ」や洋繪講義録を師、として頻りと稽古をやつて居るが、此頃では下手乍らにも繪葉書の一枚位は畫ける樣になつたので、余は之を以て唯一の娯樂として居るのである。
凡そ人は必ず娯樂がなければならぬ、娯樂は勞苦の慰安者であるから、そこで余は最も趣味の深き高尚なる娯樂として水彩畫を世人に勸めたいのである。