オンパコについて

編者
『みづゑ』第二十五 P.15
明治40年6月1日

 日も昏れたれば、急げや急げと、疾驅して下るに、だらだら下りの坂道にして、路も埋まるばかりにオンバコ叢生したれば悦ぷこと限りなし、凡そその畔なると堤たるとを問はず、オンバコは必ず人に踏まれたる土ならでは、生えぬものなれば、路に迷ひたる人は、オンバコを道知るべの草として、その在るが方へ辿れば、人里に出ですといふことなし、云々。
  これは小鳥烏水氏の槍ヶ嶽探險記の一節なり、旅行家は心得置くべき事と思へば茲に借用す。(編者)
 

野花大下藤次郎筆

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