寄書 團隊研究

TN生
『みづゑ』第二十五 P.19
明治40年6月1日

 余は昨年より大いに水彩畫の趣味をさとり、どーか是れを學ばんと思ひしに、未だ小學校のことなれば水彩畫等の科目はなし、されば師にたよること能ずして獨習をこゝろみんとて、大下藤次郎先生著の水彩畫階梯其他の書物並びに『みづゑ』等をもとめ是れらを讀むを毎月の樂みにせり、其上團隊をつくり、作品の批評繪畫上の講義等なすは大なる益ありと知り、こゝに有志者五名相會し一つの研究會を開きたり、これ秋楓會にして、日曜休日を利用して會員一同スケツチに行き、是れを清書し、各々批評し、惡しき所を直し、又わからぬ所は質問録なるものをつくりて銘々の考を誌し、叉研究録なるものをつくりこれに繪畫上自身の經驗したる所を録す、而して吾等は此會の發達を祈りつゝあり。
 スケツチしたものを描き直すことは初學者には大禁物である、寧ろ其場處で叮嚀に寫すやうになさい、其時間がないのなら短い時間で寫せる簡単なものを寫生して、眞面目に研究して往かねば進歩しません、スケツチは其儘であればこそ面白味もあり其時の感情も現はれるのであります(編者)

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