問に答ふ


『みづゑ』第二十五 P.21
明治40年6月1日

■夜間講習をなす市内の洋畫研究所の全部所在所及名稱を知りたし(會員の一人)◎下谷區谷中眞島町一番地大平洋畫會研究所、赤坂町溜池町白馬會研究所、本郷區菊坂町菊坂研究所、其他は不明但本會研究所に於ても七月新築落成の上は夜間も開校すべく、場處は小石川區水道端町服部坂下なり■一鉛筆畫を習ふに臨本以外參考となる良書ありや二鉛筆畫は我流の寫生にて發達し得べきや三美術學校本科の入學試驗の實技は鉛筆畫なりや又は水彩畫なりや(旭川S生)◎一三宅氏の墨繪講話のほか知らず、船來書にはあるべし丸善より日録をとりよせ調べられよ二專門家の作を參考にして忠實に勉強せば獨習にても進歩すべし三本年は木炭畫のみなりし、入學希望者は出來得べくは試驗前三四ヶ月間を洋畫研究所に於て練習するを要す■一淺井忠氏の中學用水彩畫臨本を見るに其筆遣ひ日本畫に於ける筆勢とも云ふべきものなり。又他の人の臨本にはこの筆勢を見受けず、右の筆勢といふ事は水彩畫の價値に大なる影響ありや二右淺井氏の如き臨本によりて筆遣ひを學習するの可否(旭川S生)◎筆勢といふが如きは初學者に要なし、殊更學んで得たる筆勢は債値なし、かゝる事に迷はず自然を眞面目に研究されたし■水彩畫にては日本畫にて岩石草花等を描く時の如く、其場に從ひて筆遣ひを硬く或は軟くして其物の性質を現はすを手段とするものなりや、又絶對的に色によりて之をなすものなりや(旭川愛讀生)◎『みづゑ』二十三主觀と客觀を再讀されたし、要は其者の眞を寫し感じを寫す上に於て都合よき方法に從へば可なり■一寫眞例題集を見カメラを以て撮影して水彩畫を畫くに効能ありや、又參考となすには如何なる點なりや二ワツトマン紙の紙の目縦横何れにても使用差支なきや(兵庫MY生)◎一寫眞家は繪畫を學ふ必要あれど畫家は必ずしも寫眞の必要を認めず、瞬時に變ゆく雲、水の影、動く人物鳥獣の如き、寫し置きて繪の上に用ゆる事あれど、夫すら鉛筆のスケツチ程の効もなし、但參考として位置濃淡の調子等大に得る處あれど、是とてあまり初學の人には解せざるべし二差支なし◎中等教員の文部省檢定試驗を受くる資格は中學校卒業者に限るや又は自修中學程度にてもよきや(KO生)◎中學校及師範校卒業以上自修者にては資格なし■一橋本辻永兩先生の「洋畫一斑」と小林氏の「水彩畫一斑」との發行所及定價二肉筆臨本の紙質は何なるや(春山生)◎水彩畫一斑は日本橋丸善書店發行定價七十錢?他は未詳二ワツトマン紙なり

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