編者より


『みづゑ』第二十六
明治40年7月3日

編者より
 b:◎立花氏へ「夏野の花」は花をモツト明るく出したい「夏野」は中央の花をドチラへか片よせたく又野の色を明るく遠近の見ゆるやうにされたい◎田中氏へ緑の色に變化なし水の描法甚だ不親切なり◎高橋氏へ三枚のうちにて船に白衣の人ある分面白し但水際としても森の左に遠景の見えぬはよからず◎海老名氏へ雨の圖は結構、小川及町の圖は甚だ粗末な寫し方にてスケツチとしても今少し纒まつた處がなくは不可なり、觀察を密にして色彩の變化等を描出されたし◎鈴木氏ヘエメラルドクリーンの使用を愼まれたし◎松尾氏へ畫が固く調子も強きに過ぎ色も單調なり一色畫から勉強のやり直しを爲し給へ◎大森氏へ松尾氏と同評、濃淡の調子が甚だ不充分である◎筒井氏へ飴賣は佳作傘が明るかつたら猶よからん、町は色彩があまり單調なり◎工藤氏へ三枚のうち市中の圖が一番よろし前の板塀と先の人家と離れて見えぬ、他の二枚は濃厚に過て不自然なり、神社の方は緑の中に赤味が足りぬ爲め色が寒く感じる位置もモツト社を現はした方がよい

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