寫生旅行家のために
『みづゑ』第二十七
明治40年8月3日
△足の甲と裏へ樟腦油をよく塗つて置くと疲れが出ぬとの話(また試みず)
△三里の灸點は効があるやうだ
△草鞋懸といふ足袋は少々大ぶりに作つて置くべし、水に入つた後は縮むため穿けなくなる
△流れを徒渉るには川幅の廣くして緩やかな處を選むは勿論である、そして川上より川下へ斜に渉る方が無事である、丈夫な杖を一本持つてそれを突いてゆけば足をとられて轉ふ憂がない
△腰から上の水は經驗なき人は決して徒渉すべからず
△急流を渉るには重い石を抱いてゆくと足に力がはいつてよいとの事