編者より
『みづゑ』第二十七 P.21
明治40年8月3日
◎京都松岡氏へ叮嚀な寫生で緑の色は殊によい、モ少し暖か味があつたら猶よからうと思ふ◎福井石川氏へ手際のよいのは敬服堤上の樹木の影が水の上へ少し顯はしたい◎大森氏へ船の畫は岸の色が黄に過ぐるやうだ、これが山鹿邊の自然なら詮方がない。雲の繪は雲と前の樹と離れない。杉の繪は濃淡の調子が散漫である。林中の繪は一番よい、遠山がモツト柔らかであつて欲しい◎立花氏へ夕景は面白い前景の影には研究の餘地がある。花園はモツト明るく畫いて欲しい。夏の花は色が寒過る