同感色と反對色

丸山晩霞マルヤマバンカ(1867-1942) 作者一覧へ

丸山晩霞
『みづゑ』第二十八
明治40年9月3日

 自然界に於ける美なる色彩の吾人に與ふる感想を區別すると種々ある、されどその大體を別つと二つになる、一漏壯美といひ一は優美である、壯美は反對色の調和より成り、優美は同感色中の稍々反對せる色の調和より起るのである、今同感色及び反對色を説明すれば左の如くである
 同感色
 反對色
 緑濃紺
 黄緑紺
 黄空色
 橙靑
 朱靑緑
 赤緑
 紅黄緑
 淡紅淡緑
 淡紫黄
 紫黄茶
 濃紫鳶色
 同感色
 右の表に示すが如く、上段は赤を中心としてる同感色にして、下段は緑を中心としたる同感色なり、同感色中の反對色とは、黄と淡紅、淡緑と靑の如きものである、反對色とは上段の色と下段の色と相對したる色をいふのである。
 反對色は色として程度の低きものであるが、この調和を得て壯美を發揮さするに於ては高尚なものである、同感色は柔かに感ずるため解し難く修養を経て解し得らるもゝので上品の色である。(丸山晩霞氏、日本園藝雜誌)

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