澁温泉より


『みづゑ』第二十八
明治40年9月3日

▽丸山氏の通信に曰く「今年は長谷川君は呑まれぬ無事なり」と書いて紫色の大蛇が鎌首を上けてゐる圖がある
▽又曰く「地獄谷の夜景、天然のイルミネーシヨン壯觀極」と下には白根山噴火の光景が畫いてある
▽吉川氏より「此地秋草既に咲き亂れ居候へども暑熱は矢張り盛にして、日々の寫生に皆々風の行衞を喞ちおり候有樣、これは地勢の然らしむる所(北鎖せり)なるべくと存候」云々

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