編者より


『みづゑ』第二十八
明治40年9月3日

◎工藤清波氏へ峰の松は苦心の作であらうがあまりに透明色が多過て遠近の調子が少しも見えぬ、、總てが固く紙面に空氣がない。夏の川も同樣中景が前へ出て來て繪に深味が見えぬ◎立花氏へ結構な作である家の工合が箱庭の陶製のやうに見える、水鳥の位置がよくない◎千葉氏へ色が單調である影の色もあまり明る過る、緑にエメラルドグリーンを多く用ゐぬやうにされたい◎小林氏ヘスケツチとしてはこんなことでよいでせう◎宮澤氏へ面白い出來と拜見しました家但屋は一研究されたい

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