『みづゑ』第二十九 P.19
明治40年10月3日

◎鉛筆畫法中村不折著
 小石川久堅町日本葉書會
 菊版クロース本綴一二〇頁六十五銭參考の挿繪三枚、鉛筆畫手本二十二枚簡易なる器物寫生より人物風景の複雜なるもの迄順序よく説明してある透視畫法は大體及び動物人體の解剖略圖も添へてあつて鉛筆畫を學ふものには尤も有益便利なる書である
◎水彩畫法『女性と趣味』丸山晩霞著
 小石川久堅町日本葉書會
 菊判色刷クロース本綴四〇〇頁貮圓
 著者が本書を公にした理由は本號の初めに載つてゐる着彩畫十二葉寫眞版木版の類が無數に挿入してある名は女性と趣味と題してあるが敢て女性に限つた事はない男女を通じての水彩畫法で美術の徳、女性と美術との關係、旅行と繪畫、自然美觀論、直線と曲線、光線論、透視畫法大要、墨繪の練習法、寫生の法、水彩畫を學ふ順序、色彩論、静物寫生法、一色畫法、色の描法、樹木及草の描法、緑の研究、水、山岳、天象、土地、人物、其他あらゆる物について一々説明し更に應用美術たる圖案意匠等に及ぼし一の加ふるものなき程繪畫に關する總てを綱羅し説明又極めて親切である、排列の順序に於て多少至らぬ處あれど水彩畫法の百科全書として見るべきもの装釘また極めて美にして淑女紳士の書架を飾るに足らん吾人は日本葉書會が多大の費用を吝ますかゝる有益なる書を續々出版せらるゝを喜ぶ

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