問に答ふ
『みづゑ』第二十九 P.20
明治40年10月3日
■時節柄繪具にカビを生じ又は上面ヘリスリンを吹き出し時により流出す、如何にせばよろしきや(鶯技)◎毎日繪具を使用すればカビの生ずる患なし、若しカビの出し時は清水にて拭ひ去るべし、又繪具の流れ出すは多量の濕氣を含むためなれば火鉢の抽出にても入れて乾燥さするをよしとす■一文房堂の割引は定價の何割なりや二大橋先生の御住所(彩郊子)◎一繪具類は割引なし、他の品は一割引の約束なり但二三の例外はあるべし二相摸國鎌倉雪ノ下■簡易透視畫法は何時發行になるや(AM生)◎起稿中、發行日未定■エチユードの完全なるものはタブローといふ事が出來ますか(大阪笑波)○區別あり、乍併共に美術品たるは勿論なり■一洋畫各大家の專門とせらるゝ繪畫の種類を知りたし二水繪にて人物の肖像を畫く手段を知りたし三『みづゑ』二十八、鉛筆畫の描法中その削り方を今少しく詳しく知りたし(くどい生)◎一其人の名を擧げて問はれよ二木炭なり鉛筆なりにて充分似せる丈の力がなくては水彩にては描けぬ、水彩にて描くには初めは臨本などにて着彩の法を覺え後ち實物について寫生したまへ三あまり尖を鋭くせずに平たく太い線の引けるやうに片面丈け削つて置くと強い力ある線も描けるし太い平な線も引ける、太く描く時細く畫く時一々小刀にて尖を削るには及ばぬ■會員にして友人の作品を送付して批評を受くる事を得るや(AM生)