小樽より

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鈴木登
『みづゑ』第三十一
明治40年12月3日

 拜呈益々御清榮奉賀候、陳者去る八月中設立いたし候『白百合會』は、本月三日天長の佳節を卜して、小樽英和學校に第一回展覽會を開催いたし候、其折は小樽新聞記者松田竹嶼氏に依頼し、先生の御高作三葉拜借いたし難有御禮申上候、先生の御作は右の外藤野羊蹄氏所有の九つ切位の『川邊の夕暮』の圖有之候、以上の四葉有之候爲め錦上に花を添へ誠に御見事の御作と奉存じ候、先生の御作の拜見いたし心に期し候は眞面目と忠實の一事に候、あまり言多くはいたさず候らへ共、今後は不言の教に從ひ眞面目と忠實を旨と可致候。
 白馬會會員田中寅三史、高橋勝藏氏の水彩及び油繪、同じく白馬會々員にて美術學校生徒なる長谷川昇氏、小樽中學圖畫教師關精一氏の油繪の出品有之候、其他會員の作品水彩、油繪、チヨーク、木炭畫等有之合計五十點計りに候、洋畫展覽曾としては今回が始めに候爲め頗る盛會に御座候。
 第二回は明年四月の筈に御座候、其折は第一回に増し盛會を期し申し候。
 鈴木登

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