紹介


『みづゑ』第三十二
明治41年1月3日

紹介
 ◎法華經物語山崎紫紅氏筆
 法華經一部八巻、意義深長吾等凡俗の解するに苦しむ處、此書はそが通解として見るべく、文章平易にしてよく此經文の妙を傳へて遣憾なし(菊判二〇〇頁五十錢、京橋和泉町祐文社發行)
 ◎山岳第二年第三號
 四六二倍、二百頁に近く口繪も澤山あり用紙も立派なり印刷も美事なり、賣高が増すに從つて損が多くなるであらうと思はるゝ程美麗な大雜誌である、苟も山を見て美を感ずる人は本誌を飜げ、然らば益するところ極めて大ならん(一年三回發行會費壹圓日本橋區室町三丁目、城氏方山嶽會事務所
 ネルの勇氣羽仁もと子編
 この書は少女文庫の第一編にして、子ルといふ可憐の少女が、幾多の困難を經て其祖父を善良の人とならしめし憐れにも勇ましき物語を譯せしものにて、美しき小册子なり(四六形十五錢小石川小日向臺町愛友社發行)
 ◎美術時報新に生れたる美術雜誌にして、多年斯界に文筆を以て知られ、最も消息に明るき小原氏の編輯せらるゝものなれば、報導正確にして且敏なり。和洋兩畫にわたり美術界の現况を知らんとするものには、畫報社の美術新報と共に尤も便利なる雜誌なるべし(毎月二回、五錢、府下日暮里金杉、美術時報社發行)
 新刊繪ハガキ
 ◎行雲流水、(丸山晩霞筆、六枚三十錢)月あり雪あり山あり海あり多趣多樣◎源平、(細井種生筆、三枚十五錢)新年用にしてカルタ遊びを描きしもの頗る美はし◎新春の花(丸山晩霞筆、二枚十二錢)銀地に浮出にて松竹梅、福壽艸等をあしらひしもの、高尚にして美麗なり◎春の祝、(内藤芳湖、四枚二十錢)新年用にして清新なる淡彩刷なり◎松竹梅(和田笑壽畫、三枚十二錢)鶴、梅、旭日旗等にして意匠面白し◎初春、(細井、種生畫、三枚十五錢)金刷浮出にして光彩を放てり◎新春、(丸山晩霞筆、三枚十八錢)特に年賀状用として畫きしもの雪割草尤も秀でたり(以上日本橋區二丁目松聲堂發行)

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