子爵秋元興朝の言


『みづゑ』第三十三
明治41年2月3日

 子爵秋元興朝氏曰く、日本の名畫と西洋の名畫とを同じ處に對比して、自分を欺くことなく虚心平氣に其時の感じを表白して見たなら其優劣は直ぐに决せられる、日本畫固有の特色を維持してゆかうとすれば不條理な繪を甘じなければならぬ、處がそれは時代が許さぬ、さればとて折衷は思ふ程の成功を期し難い、されば何も迷ふことはいらぬ、一躍して洋畫に入るの外はないと思ふ、洋畫に據つて入神の技に達する、日本將來繪畫の發展の道は此外に出でぬことと私は信じてゐる云々(太陽)

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