問に答ふ
『みづゑ』第三十五
明治41年4月3日
■一繪具の赤色の中で一尚美麗な色は何なりや二新聞雜誌等の畫は畫家に報酬を出すものにや三文房堂と森親子商會とでは繪具の價に非常の相違あり一方は贋物なりや(安藤生)◎一赤、(紅も含む)のうちではローズマダー、ビンクマダー、スカルレツトレーキの如きは美はし二報酬を出すのもあり出さぬのもあり三比較して見ねは分らず一鉛筆畫のコスれて汚れるのを防くものありや二水彩畫にブラツクは使用し得るものなりや三投影畫法は是非共學ばねばならぬにや(白影子)◎一シケルラツクを塗つて置けば安全、牛乳にてもよし又はエローオークルの如きある一色にて淡く塗つて置けばスレることなし二使用して少しも差支なし三專門家になるなら必要なり■一精細なる繪具の調和の良否を示されたし二ニユートン製繪具にて練製と乾製と發色に相異ありや(紫明生)◎一かゝることは短文には答へ難し「水彩畫階梯」の巻尾を見よ二色によりて多少の相違あり乾製の方が完全なり■畫學紙の綴たスケツチブツクは反對の方の紙面にうつりて困るよき救濟法なきや(初學者)◎白影子への答を見よ、間へ薄い紙を入れて置くのもよい