近時雜聞
『みづゑ』第三十七
明治41年5月3日
△太平洋畫會展覽會は五月十七日より三十日間上野公園竹の臺陳列館にて開會すべく、故淺井忠氏の遺作を陳列し、又吉田博氏はその歐米漫遊中の作品百餘點を出品すべく中川八郎氏は信州野尻湖附近の景を、丸山晩霞氏は小笠原島及信州澁温泉附近、及武州飯能邊の寫生畫を、河合新藏氏は信州北城邊の殘雪を、大橋正堯氏は九州及ひ韓國の風景を、大下藤次郎氏は東海道海岸及信州の山嶽及湖水の圖を出品すべしといふ
△石版製版術の進歩を圖るため組織せられし虹交會にては、今回星野錫氏を會頭に推し、毎月一回『虹』と題する會報を發行し事務所を神田區佐柄木町十一番地細井種生氏方に置けり