繪ハガキ競技會記事(第三十四回)
『みづゑ』第三十八
明治41年6月3日
五月二日開會、出品者二十二人、出品數百四枚、選評の結果左の如し
人の顔(技術)菜の花(圖案)
一等學生松岡友次郎 四月の空中尾正幹
二等若者枝吉延太郎 蝶に鏡今井和衞
三等青年大橋三平 菜の花道大峰寂陽
四等農夫並木富太郎 夕月高垣松雄
五等婦人高橋松治 眞晝野寺田季一
六等田舍娘大峰寂陽 乙鳥工藤太郎
七等眠れる人立花甚之助 野水永井源三郎
八等官吏牛木勇 蝶立花甚之助
九等女學生栗原庄太郎 蝶宮澤汀煙
十等いやな顔松尾大作 畑の道大橋三平
以下略
久し振の開會なるに拘はらず出品數少なく、又佳作とすべきもの多からざりしは遺憾なり。顔の一等二等は忠實なる寫生にして、四等はよく感じが現はれて見ゆ、他は輪廓の間違あり、色彩の不自然なるあり。不眞面目なるものあり。圖案の一等は別に意匠の勝れたりといふにあらねど、手綺麗にして配色巧なり。二等は色の配合やゝアクドキ心地す。三等は少しく複雜せるも面白き考案なり。六等は色彩に難あり。其他の諸作は菜花といふ明るき春色の感じの缺乏せるもの多かりし。