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『みづゑ』第三十八
明治41年6月3日
□本號には三葉の繪畫を挿入致候、爾來隔月若くは三ケ月目に三葉宛挿入致すべく、猶次號には多少紙數を増加可致候
□次號以下には『イースト氏寫生談』の續稿山本氏『版のなぐさみ』の續稿、丸山氏の『緑の新なる研究』、畔川氏の『圖按法概要』、戸張氏の『コンボジシヨンの話』、『ラスキン氏樹木の研究』、『色彩應用論、寫生の部』の續稿、大下氏の『靜物寫生の話』續稿、並びに『日本の春』及『ピーター、デ、ウイントの傳』『小笠原寫生紀行』等を引續き掲出可致候
□本年の水彩畫夏期講習會は、第一奈良、第二日光、第三越後柏崎の三ケ所のうちにて、會場其他便宜のよき土地にて開催致度、昨年の如く主力を分つことは出席者に充分教導致し難き虞れ有之候間、今年は場所は一ケ所として、講師として丸山晩霞、大下藤次郎両氏出席可致、若し講習生多數なるときは講師の數を増すべく候
□課目は墨繪、水彩畫、透視畫法、會期は八月一日より十五日間、會費は記名料金臺圓講習料金貳圓、本會指定の宿泊料は一日金五十錢以内の豫定に御座候、但日本水彩畫會會友及地方講習生は記名料半額
□三ケ所のうち其何れに可相成が未定なれど、出席希望の方は、遲くも本月十五日頃迄に塲處を指定し、ハガキを以て假申込をなし置かれたく、さすれば規定出來次第御送付可致候
□十五日間の時日は僅少なれど、其間は殆と水彩畫趣味世界に生活すると同樣にて、直接間接に利益することの大なるべきは言ふを俟たず、尚參考品としては多數の肉筆畫及版畫を携ヘゆき展覽に供すべき筈に御座候
□既に御承知の通り、本會開催の夏期講習會は斯道普及のため、暑熱の候、多忙の身を捧げて開會致候事故、出席者少數にして收支相償はぬやうにては開會致兼候故、なるべく多數の出席を希望致候。