瀑布
丸山晩霞マルヤマバンカ(1867-1942) 作者一覧へ
丸山晩霞
『みづゑ』第三十九
明治41年7月3日
瀑布の吾人に與ふる感想は、線の美に述べた如く、水は高所より落つる爲め碎けて泡沫となるので白を呈し、飛散するものは霧となるので、これに日が直射するときは日の映は七彩の虹の如く現はれ、輪は二重三重となることがあつて美しいのである、瀧壺は水力のために堀れ、深碧色を現はしてゐる、これを描くには、白は紙の地を現はし、霧の如きものは淡く殘すのでホワイトを用ひぬがよい、白の影色は青にインヂゴーを用ひるのである、稍々大なる彩味の白は、小刀にて紙を削り、紙の地の白を現はすのである。(丸山晩霞氏、女性と趣味)